根本宗子(月刊「根本宗子」)

靖子ちゃんの音楽がなければ、泣き叫び仕事が手に付かない夜に今の何倍の時間を奪われていたかわからない。今はクソカワPARTYがあるから今を頑張れる。
自分が劇作家という道に巡りあって活動している今現在、同じ時代に靖子ちゃんが音楽という芸術をやっていなかったら心が今の何万倍壊れていたかわからない。彼女の芸術があれば今を頑張れる。

私は好きな人、好きなことへの愛の注ぎ方が異常だという自覚があるが、そんな私を楽勝で上回るくらいに靖子ちゃんは愛の塊のような人だ。
音楽を聴けば隣に優しく寄り添ってくれて、ライブに行けば強く手を握ってくれる。
近年で一番立ち直るのに時間がかかるかもしれない、心に空いてしまった穴の埋め方がわからなくなってしまった日があった。数ヶ月経っても引き裂かれるような気持ちがどうにもならなかった。
靖子ちゃんに会いたいなと考えながらそんなことで連絡するのもな、と一度開いたラインを閉じ、電車にも乗れずタクシーで仕事に向かっていたら、靖子ちゃんから「新しいアルバムができました!」とLINEで音源が届いた。
イヤフォンを挿し、すぐに聴いた。
死ぬほどかっこいい音楽の中にまたしても強く私を抱きしめてくれるような歌詞がちりばめられている最高のアルバムだった。
絶望を生かすのさREALITY MAGICと彼女は歌っていた。

「心にぽっかり空いてしまった穴が一生埋まらないそれはそれで幸せ
お腹いっぱいでもアイスが食べたい時に胃にスペースができるのみたいに幸せ」

私の心の穴はほんの少し塞がり始めた。そしてまた頑張ることが出来た。
誰かの心の中をほんの少し塞ぐことは、ほんの少し頑張ろうと思わせることは本当に本当に大変でものすごい心の力を使うことだと私は思っている。
本当にすごい人だ。
ついでにサーティーワンのアイスまで私を幸せにしてくれるアイテムへと変えてくれた。

劇作家 根本宗子