東 佳苗

私達は弱くない お前が思っているより
全然ちゃんと一人で生きてるし馬鹿にされても関係無い
労働をしたお金で高い服を買って甘い物を食べて自分を誤魔化して生きてる
それでも大丈夫じゃない日の方が圧倒的に多くて 
誰かの所為でもあって自分が一番馬鹿な所為でもあって
だから私は気休めの 大丈夫だよ、が欲しい
整理整頓された綺麗な理論では救われない
大丈夫、大丈夫、大丈夫 、でも
あなたとだって明日には大丈夫じゃなくなるってもう知ってる
傷付いたとか傷付けたとか消えたいとか消えてくれとか
出来ればこんな感情欲しくないし
なんで「これ」じゃなきゃ生きれなくなった?
靖子ちゃんは私達の感情がそれに到達する前からその絶望を全部知ってて
何回も何回も何回も死んだことを無かったことにされて輪廻転成してまた人生をやっているからなのかな
いつも守られてるって思えるのは
どんな汚い感情にも母性と処女性と社会性を宿して
孤独の盾となる歌を歌ってくれるからで
手放しにいつも、おはよう、大丈夫だよ、って包み込んでくれるのは
私達には、靖子ちゃんだけなんだよ



選曲:東京と今日

夢も愛も金もいつからダサくなってしまった?
何をしても何を信仰してもダサくなってしまうね
縋るしか無かったけど信仰はいつもダサくて
夢なんて愛なんて信じてもいつか無に還されて
その所為で私達は昨日も今日も30年後も病気で
君と会うと またひとつ夢が増えてしまう ねって
東京の広いホールで歌う靖子ちゃんに
ピンポイントに感情を寄せていつも私は
都合良く勝手に気持ち良くなって泣いてしまう
靖子ちゃんは本当に、私達が都合良く気持ち良く悲しくなれる言葉と音を知っている
一通り悲しくなった後、清々しい気持ちなって、働こうって思える 
靖子ちゃんも働いてるし働こうってなる
今日も、東京に朝が来てしまったよ