エンドレスダンス

作詞/作曲:大森靖子

美しいギター・ピッキングだけで昇天。英国フォークのヴァシュティ・バニアンっぽくもあるが、そんなこと本人は意識すらしていない。街を急いで走ったり、ふと空を見上げるたびに曲がたまってゆくのだし、その「やりたい」という気分を待ち受けてぼくたちはだまって録音ボタンを押してあげればよい。そんな時がある。これも音楽の作り方なんだと思う。工事現場で一句詠むような風情ある久下さんのドラムスも最高だ。

「きらい」っていう気持ちが異様にキラキラしてみえる時がある、自分に利益がないのに好きになることと同じぐらい体力使うからエネルギッシュでいいなって。私の祖父はアンチジャイアンツで欠かさず巨人の試合結果をチェックしていて、負けたら機嫌が良い。ナイター中継もしっかりみていて、もはや生きがいの一つになっているんじゃないか。人を激しく嫌いになるパターンで一番多いのがたぶん「めちゃくちゃ好きだったのに裏切られた」って時でしょ、愛憎っていうんですかね。好きと嫌いは紙一重に疲れるんですよね。だから好きと嫌いの真ん中「もう好きじゃなくなったのかな?」くらいで永遠に踊っていたいな、音楽なら「サビしか知らないけど好き」とか、そのくらいの温度でいられたら一番気持ちいいのになっていう曲。ふらふらぐらつくことの美しさ。だからギターもなんかふわふわ心地よく弾いてて、なのになんか感覚的に、ドラムは久下さんに「生理中のOLみたいに叩いてください」ってお願いして。まあ結局、イライラしていたいんでしょうね私は。物心ついたときからずっと、エンドレスに何かハプニングがあるんですよ。そういう生き方しか知らないから、ハプニングがある状態でしか輝けない気がして。何もないってことが怖い、じっと出来ない子供みたいに。