青い部屋

作詞/作曲:大森靖子

伝説となったあの渋谷クアトロのソロ・ライヴを観た時「本来はピアニストなんだな」ということに気付いた。この曲はギター・ヴァージョンも壮絶にロックなタッチがかっこよくて好きなのだが、アルバムには創造性がより深淵に伝わるピアノ弾き語りヴァージョンを選んだ。都合3テイクを録音したうちのこれはその最後のテイク。コーダの美しくも幽玄なソロは毎回まったく違うものになった。

母親が出生届を出さずに育児放棄し、その子供たちは子供たちだけで暮らし、母親からの月2、3万のお金では兄妹5人どうにもならず、次男は栄養失調で死亡、三女は長男の同級生の暴行により死亡した巣鴨の置き去り事件。と、少年のまま家族も友達もなく引きこもり、おじいちゃんになってもひとりきりで、亡くなるまで誰にみせるでもなく、それ自体が作品であるという意識もなく「非現実の王国で」という子供しかでてこない自作の物語の絵を描き続けたヘンリー?ダーガーが出会う子供のくにが私のこの歌、青い部屋。子供が子供のままでいることの残虐さと優しさについて。なつやすみの向う側へワープするようなピアノが弾けた。