PS

作詞/作曲:大森靖子

迷い線のように感情が水滴となって窓を滑り落ちてゆく。じっと見つめていたら流れて消えてしまうのだけど、逃げてゆくものをあえて追わない馬鹿力みたいなものが時に詩になる。この衣擦れのような歌を最高の音質で録音し、こうして残せたことは光栄だし心から嬉しく思う。

一人暮らしの孤独だけが私の武器だと思っていたから、恋をしたときは罪深いなと苦しんだ。少女3号の解説と同じ相手の話。馬鹿な恋を最大限美化した歌。背伸びして、自分を無理矢理よくみせようとしてがんばったら、だんだん無理にやっていたことも軽くこなせるようになって、少し高い身の丈になれる。そんな彼こそ正しい東京の暮らし方をしている、かっこいい!とか思ってたんだけど、今思えば金持ち特有のただの虚栄心だったのかもしれない…銀色の車は、あれから彼のお父さんが亡くなってしまって、もう無い。私たちは若くて、馬鹿で、きっとすぐ忘れてしまうけど、わたしのふるさとだけは覚えていてね。さようなら!